中身の良さと露出

Sabajapan2010-10-26


 5000人入る会場は満員。ある国際カンファレンス、日本人がキーノート・スピーカーに登場しました。


 国際競争力は衰え、後ろを見ればマレーシアが日本に続き、世界は中国とインドばかりを見ている今日この頃。ネイティブの発音ではないし、帰国子女という感じではありませんが、英語でのプレゼンテーションは光っていました。このような場合、下手でも、とにかく自分の言葉で伝えることが大切です。


 ビデオも製作し、最初は日本の伝統的な美を描いたものでした。京都と思われる背景のなかで、琴の音色と風景が日本の侘び寂びを想わせます。木工細工を組み合わせた襖が紹介され、日本の微細技術をイメージさせます。その後、対照的に半導体などのハイテク技術が紹介されていきます。伝統的な日本の良さと、優れた先進技術をアピールする格好のビデオでした。


 プレゼンテーションの中身は、その企業がヒューマン・セントリックな未来を目指しており、ICTがもっと人々の生活に役立つことを狙っているという内容でした。数名のキーノート・スピーカー・プレゼンターの中で、アジア人はこの日本人だけでしたが、来年は日本人以外のアジア人が大きく増えるんだろうなと感じました。


 会場の5000人の反応は、感動を素直に表して大拍手。国際社会の中でプレゼンスが下がっている日本をアピールしてくれました。


P.S. リハーサルは何度も繰り返したそうです。日本でも自社の体育館を借り切り、大道具を200万円で製作して入念な準備をしたとのこと。社内公用語が英語になった会社にびっくりしていてはいけません。良いものを作っているだけでは、グローバル競争からどんどん取り残されていきます。言語に代表されるいくつものハンデキャップは、なんとか準備で乗り越え、その企業が持つ良さをどんどん伝えていかなければなりません。
 自ら伝えない限り、「相手があうんの呼吸でわかってくれる」ことはありません。