おまけと心理戦(1)

Sabajapan2010-12-12


 久しぶりにカジノの話題をします。
 カジノにはコンプというシステムがあります。ご存知でしょうか?


 コンプとはプレイに応じて現金の払い戻し、もしくは飛行機のチケットや食事、ホテルの宿泊費、観光やショーのチケット等、カジノ側がゲストに提供するサービスを言います。


 どこのカジノでも、最近はプレイヤーズ・カードがあるので、ポイントが蓄積され、ポイントで景品がもらえたり、食事代金をそのポイントで払えるようになってきました。ジャンケットと呼ばれたりもする、カジノ側のホストが付く場合は、手厚く面倒を見てくれます。交通機関の手配から、空港へのお迎え。同伴者がいる場合には、ショッピングの手配や、観光の手配も行ってくれます。


 当然、こういったカジノ・ホストが着く場合は、それなりのお金を遣わなければなりません。勝ち負けは関係なく、ターンオーバーと言って、どれだけベットしたか、つまりどの程度賭けたかによってコンプの大きさが決まります。ホエールと呼ばれるとんでもない大金持ちは、コンプの額は関係ありません。カジノ側も、いかに気持ちよく過ごしてもらえるかということを気配りしておけば、自然とお金はカジノ側に落ちていきます。手厚い送迎を行い、スイートルームに花束とフルーツを用意しておき、カジノのVIPルームへ案内します。もちろん、すべて無料のサービスですが、ホエール達は、楽にそれらの費用をカバーしてしまう大金を落としていきます。時には大金を稼いでいきますが、その人達はまた必ず戻ってくるのです。したがって、勝っても負けても、「もうこんなカジノには二度と来ない」と思わせないことが重要です。


 銀行、カード会社、車のディーラー、高級レストラン、ホテル、百貨店の外商、エアラインなどなど、リピート・ビジネスが期待できる上客には手厚いサービスを施し、時には赤字となっても上客を大切にします。


 また、私のレベルでもそうですが、手厚いコンプともてなしを受けると、「負けたけど、色々遊べたし、旅行代もタダになったからまあいいか」と自分自身を納得させてしまいます。これは鋭い心理作戦だと思います。


 先ほど、ターンオーバーという言葉を使いましたが、コンプの大きさやポイントは、どれだけ賭けたかに依存しますので、一回あたりのゲームに大きな金額を張る人ほどポイントは大きくなります。また、そんなに大きな金額は賭けないながら、長時間プレイする人もポイントがそれなりに蓄積されます。一回あたりに大きな金額を張る場合は、当然リスクは高くなりますから、原資がそれなりにないとすぐにゲームオーバーです。ツキのない時は、負けも大きくなります。長時間プレイは、長時間プレイで、確率論が活きてきますから、全体としてはカジノ側が有利になってきます。カジノゲームは心理的なコントロールが重要ですが、コンプを期待してプレイしていると、微妙にプレイの仕方が変わってしまいます。コンプは心理戦に影響を与える伏兵と言っていいでしょう。


 カジノ側は、当然、プレイの進行をチェックしており、プレイヤーが思っているより正確に観察しています。また、最近では、プレイヤーズ・カードとプレイ実績が連動しており、ピットボスの判断だけで、食事券を出したりすることが減ってきました。カジノ側のチェックは、30分に一回程度行われ、昔ながらのやり方であれば、個人別にベット額をメモしています。


 チップ交換額や、開始と終了時の増減なども見ており、かなり「見える化」されていますのでご用心。長くなったので、次回に続きます。