モチベーション・マネジメント

Sabajapan2008-01-20


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 久しぶりにイギリスを訪れました。トランジットでのヒースロー空港を除けば、実に20年ぶりです。


 ロンドンの市内は大きく変わったとは思えませんでした。大きく変わったのは物価。一言で言えば異常です、日本の給与では生活できません。逆に発想すると、日本の国力が衰えた証拠であり、GDPが18位になったのも納得できます。来年は、いよいよOECDの中で下流層入りです。日本の経営者の方々、グローバリゼーションに取り残され、「失われた20年」になりつつあることに気づいているのでしょうか?


 しかし、地下鉄は一駅でも1000円、タクシーはあっという間に5000円という物価では辛いものがありますね。米国の地方から来た人は、3倍の物価と言っていました。展示されている中古車の価格表を見ても、いわゆる高級車の部類は、1000万円を超えるものばかりで、街中が小さい車で溢れる理由は、道の狭さだけではありません。不動産価格も驚くばかり。どうやって、みんな生涯賃金レベルの家を買えるのでしょう、不思議でなりません。今のイギリスは、我々外国人からみた物価の高さだけではなく、イギリス国民の賃金がそれほど上昇していないことも大きな問題になりつつあるそうです。


 宿泊したホテルの場所はやや郊外のSunningdaleというところです。王室を現す「ロイヤル」が付くだけあって、ウィンストン・チャーチルが利用した由緒ある歴史を感じさせるホテルです。ウィリアム王子も近所に住んでいるとのことでした。ゴルフの世界では有名な、’The Open’が開催されるだけあって、アーニー・エルスやコリン・モンゴメリーの豪邸が美しいゴルフ場の中に佇んでいます。実質1日の滞在なので、残念ながらゴルフどころではありませんでしたが。


 上記のような場所や歴史を説明してもらう中で感じたのは、格差社会と階級。差別は明らかに存在しているのです。「庶民」は、別の民族のような感覚で説明されます。閉じられた世界の中で、生活レベルに枠をはめられてしまうと、それが当たり前になり、差別ではなくなる、あるいは差別を感じなくなるのかもしれません。レベルが上の側も、下の側も閉じた世界の中で受け入れてしまうので、彼らにとって差別ではないのでしょう。


 ビジネスの世界における格差、意識としてはあからさまではなく、かなり「マシ」だと思いますが、この階級意識は逆にモチベーション・マネジメントをし易くしていると思います。なぜならば、職種や職業、職務レベルにおいて格差があること自体に疑問を感じないからです。格差があっても、それは別の世界のことと割り切れば、悔しさも羨望も出てきません。悪く言えば、あきらめに近い感覚ではないでしょうか。私がモチベーション・マネジメントの易しさと言っているのは、閉じた世界の中においてマネジメントしていけばいいからです。


 「バスに乗り遅れたくない性格」の日本人。「格差がないこと」がおかしいと感じる国民性とは逆に、「格差がないこと」に安心する農耕民族においては、こちらの方が難しいモチベーション・マネジメントが存在していると思われます。最近は、「差」がでてきましたが、一昔前は、同期入社で給与に差がつくと、複雑な気持ちになったはずです。「差」が付くと妬む文化の根っこはここにあるのかもしれません。


 P.S. トイレで用を済ませると、ペーパータオルを用意して、身なりの良いおじさんが待っています。トイレに入った瞬間から水道の水を出しっぱなしにして(節約して欲しいです)、手洗い石鹸を勧め、これはチップに対する大きなプレッシャー。俄かジェントルマンにならざるを得ず、ポケットの小銭を気前よく渡していましたが、イギリスのポンド、コインでもソコソコ大きな価値があります。色々な種類があるので、幾らかわかっていませんでしたが、後で1ポンドや2ポンドのものだったと気づくと、ペーパータオルのおじさんに、2回も1000円以上のチップをあげていました。経済大国の日本が健在であることに貢献?イギリスに渡航する前に、コインの学習をしておきましょう。(当たり前?)