解決策と楽観思考2

Sabajapan2009-11-30



 エンジニア時代、ある大学の研究ネットワークを構築していました。国立の女子大で、博士の集団でした。インターネット一歩前の世代でトークンリングLANという今となっては特殊なネットワークです。キャンパス内と研究棟の中を巨大なリングが通っている感じです。


 ところが本番カットオーバー間近になって、ネットワークが停止します。発生はいつも深夜。朝方に担当の先生から「ネットワークが繋がらない」と連絡が入り、再度立ち上げを繰り返す毎日。ところが正常に稼動している日もあるので、問題はより複雑でした。


 カットオーバーは日に日に近づいてきます。もう予定どおりの本番は、諦めざるを得ないかと考えていました。おっとりした先生方ばかりなので、怒られることはありませんでしたが、とても心配そうな顔をしています。研究機器に巨大な電子レンジのようなものがあり、電磁波が発生するので、この機器が原因ではないかと検証したり、色々協力もしていただきました。


 記録を見ると、いつも深夜に発生しているので、覚悟を決めてコンピュータールームで徹夜で監視することにしました。ところが何泊しても、ネットワークは正常です。もう大丈夫だろうと家に帰ると、次の日には異常が発生しています。責任感は強い方なので、寝不足と精神的なプレッシャーで心身共にボロボロになりました。なんとか問題解決しようと、コンピュータールームにある分厚い英語のマニュアルを持ち帰り、毎晩読んでいました。


 推理ドラマのような状況展開でしたが、状況証拠を整理し、とうとう原因を突き止めました。恥ずかしい話ですが、悪者は温度で、当時最新式の自動運転装置は、冷却装置まで深夜に停止しており、停止後1時間近辺でネットワークエラーが発生していました。エコ運転が災いした事件でした。夏でしたが、涼しい夜はエラーが発生せず、また、人が泊り込んだり、遅くまで仕事をした時にはエアコンが稼動していたため、問題は発生しませんでした。


 今では、図太い性格になってしまいましたが、当時は、思いつめる毎日。その大学へ入るとき、出るとき「なんとかなるやろ」とつぶやくことが精一杯です。あの時ほど、諦めは禁物ということを肌で学びました。


 極限状況のとき、「自分は関係ない」という態度をとる人や、「だからこんなネットワークを選択しない方が良かった」という、後ろ向きな意味のない発言しかしない人、人間模様が見えました。


 いかなる時でも、「なんとかなるやろ」と前向きに、諦めないで問題解決に取り組みたいものです。


 P.S. 興味が出てきたので、Blue Zoneの書籍を購入しました。