スピードというサービス

Sabajapan2010-03-14


 物事の善し悪しを判断する指標に「量」と「質」があります。


 それに加えて重要な判断基準になりつつある「スピード」。もちろん古今を問わず重要な要素でした。しかし最近は、ツイッターがリアルタイムの情報伝達と共有に貢献していますし、旅行の飛行機や宿泊は、Webからのリアルタイム予約確認でないとイマイチ利用する気がしません。


 大きく「変わったなあ」と感じるのが、通販というかインターネットショッピングのお届け時間。宅配便業界の進化も大きな影響を与えていますが、アマゾンのサービスは、我々の価値観を大きく変えてしまいました。


 以前までの通信販売の感覚とは異なり、翌日に届くのは普通感覚、オプションでオーダーすると、当日配達が可能なものもあります。実際に店舗まで足を運び、在庫がなかったり、「配達は2週間後」と言われるとがっかりします。仮に店舗に商品が置いてあったとしても、スピードと手間はアマゾンの方が上ということが少なくありません。電子店舗の仮想空間とはいえ、翌日に欲しいものが手に入る便利さと組み合わせると、現実の店舗以上の付加価値を生み出すことができます。自分のネットワークだけでは不十分な、「クチコミ」情報も提供され、商品購入の大きな判断材料になります。


 一旦サービス水準が上がってしまうと、その水準が当たり前となって、それ以下のサービス水準では満足できなくなります。私は「アマゾン・タイム」と呼んでいますが、最終消費者に驚くべきスピードで商品を届けることを付加価値にしました。アマゾン社は他社との差別化要因を在庫との組み合わせと考え、無在庫販売を考えませんでした。素晴らしい戦略ですね。


 人の能力の一部はスピード。素早く成果を出す人と、何度コーチングされてもピントの外れた成果しか出せない人では組織への貢献度が全く変わってきます。100点でなくても、まずは素早くドキュメント化し整理と洗練を繰り返す人の方が、時間切れになる寸前にレビューも受けれていないアウトプットを出す人よりも断然優秀です。自分の仕事も「アマゾン・タイム」でいきましょう。



 P.S. 鎌倉時代以前から飛脚のサービスは存在したようですが、当時は東京-大阪の配達が30日の時代。特別便で依頼しても3-4日間。「アマゾン・タイム」とは大きく異なります。エコを重視する時代とはいえ、このサービス水準を飛脚の時代に戻すのは不可能な世の中になりました。